さあ、手を振ってくれ ~『少年たち Born TOMORROW』大千穐楽によせて
『少年たち Born TOMORROW』、大千穐楽おめでとうございます。
9月、日生劇場で幕を開けたSixTONES・SnowManによる3年目の『少年たち』。10月に太平洋戦争によってアメリカ軍からの空襲を受けた地をまわった『少年たちLIVE』を経て、初の松竹座公演。約2か月半、12人全員が主演舞台に立ち続けた毎日、本当におつかれさまでした。
2015年から、従来の少年刑務所の中での少年たちの葛藤を描くという伝統的なストーリーに加えて、戦争の悲惨さや平和な毎日の尊さというジャニー社長の実体験も含めたメッセージを伝えることを任された12人が3年間紡いできた物語は、間違いなくこの12人にしかできないものになったのではないかなと思います。
自分が経験したことのない事象に関するメッセージを、これまたほとんどがやはり経験したことのない受け手に届けるってすごく難しいことだと私は思っていて。なおかつ、それは決してファンタジーではなくて、ジャニー社長も含め経験してきた人もいる過去この国で現実に起こったことで、今も世界のどこかで確かに起きていることで。そんな本当に難しいことに日々真摯に向き合ってきた12人に頭が下がる気持ちでいっぱいです。
私は劇中で歌われる『君にこの歌を』がとても好きです。
徴兵されたジェシーが戦地で亡くなってしまったあとに歌われるこの曲。イワモトとジェシーにとって大切で、でも苦い思い出になってしまった曲でもあって。
かけがえのない仲間を亡くした11人が、悲しみを乗り越えて、という表現が正しいのかはわからないですが、事実と向き合って、いろいろな気持ちを大切に抱きしめて、上を向いていく姿が美しいなと感じます。
歌詞を読んでみると、このすのすとの『少年たち』においてはジェシーからのこされたそれぞれへのメッセージととれる曲ですが、私は後半の歌詞に舞台に立つ12人への自分の気持ちをいつも重ねてしまいます。
この12人による『少年たち』がこれからも続いていくかはわかりません。でも、これからもずっとみんなにうたっていてほしいし、前に進んでいってほしいなと思います。
そして、降りてくる緞帳の向こうから、下がっていくセンターステージから、テレビの向こうから、こちらへと手を振りつづけていてほしいです。
本当にロングラン公演おつかれさまでした。素敵な時間をありがとうございました。